e日本語教育研究所

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May 19, 2016 By Kay

東京物語-代官山 (第四章)

東京物語とうきょうものがたり–代官山だいかんやま (第四章だいよんしょう)

(第3章)
ランチにはまだ早はやい時間じかんだからか、行ゆき交かう人ひとも少すくない。いつもと違ちがう朝あさだった今日きょうは、まだモーニングコーヒーも飲のんでいないことに気きづいた美希みきの足あしは「アロハテーブル」に向むいていた。

可能是離午餐時間還早吧,來往的行人也不多。跟平常不同的今天,美希突然發現早上咖啡還沒喝,於是往「阿囉哈咖啡桌」咖啡廳走過去。

いつも賑にぎやかなテラス席せきも、人ひとがまばらだ。コーヒーを注文ちゅうもんし、ケーキ作づくりのために必要ひつような物もののリストを作つくろうとメモを取とり出だしていると、背後はいごで声こえがした。

平常總是很熱鬧的陽台座位,連人也很稀少。正點好咖啡、剛拿出筆記本要開始列出做蛋糕需要的材料表時,背後傳來聲音。

「離婚りこんはしません。離婚りこんしたら、私わたしはどう生いきていったら・・・しません。いえ、できません。」

「我不離婚。離婚的話,我該如何生活…不離。不,是不能離。」

小声こごえながらも、感情かんじょうの高たかぶりとともに、最後さいごの「できません。」があまりにも大おおきな声こえになっていて、美希みきはもちろん、店員てんいんも振ふり返かえるほどだった。以前いぜんもこの店みせで見みかけた「女性じょせいとしての幸しあわせのすべてを手てに入いれたように見みえたあの人ひと」だ。ついジロジロ見みてしまってから、サングラスをかけてきて良よかったと思おもった。

雖然很小聲講,隨著情緒高昂,最後那句「不能離婚。」的音量卻變得太大聲,不用說美希,連店員也回頭看了。原來是以前在這間店看過「看起來身為女性,好像會所有幸福都會到手的人。」不自覺盯著看之後,慶幸自己有戴著太陽眼鏡。

電話でんわの相手あいては、ご主人しゅじんの弁護べんご士しらしい。美希みきの耳みみが自然しぜんに彼女かのじょの声こえを拾ひろってしまう。よくある話はなしだ。ご主人しゅじんに女おんなができたから、別わかれようと言いうことらしい。しかし、働はたらいたこともない彼女かのじょにしてみれば、この先さきの生活せいかつが不安ふあんであり、また、今いまの生活せいかつを維持いじできないなんて・・・ということだ。暗くらい話はなしとは対照的たいしょうてきに、店内てんないから流ながれる軽快けいかいなハワイアンミュージック、そして、日焼ひやけしそうなほど強つよい初夏しょかの太陽たいようの日差ひざし。美希みきは、なんだかとても気きが楽らくになっていた。

電話的對方似乎是她的律師先生。美希的耳朵自然而然地聽著那位女性所說的話。還是老套的故事。就是男主人有了外遇後,提出要分手的樣子。但是,對從沒在外工作過的女人來看,不緊緊是對將來生活的不安,還有無法保持如現在生活之類…據說是這樣的內容。與沉重的事情正好相反,店內流淌著輕鬆愉快的夏威夷音樂,然後還有會如同會讓人曬黑的強烈初夏的陽光。美希不由得變輕鬆起來。

何なにが幸しあわせかなんて、本当ほんとうはだれにもわからないのではないだろうか。つい先日せんじつまで、多おおくの女性じょせいから羨望せんぼうの眼差まなざしで見みられていたに違ちがいない女性じょせいが、今いまはなんだかとても惨みじめに思おもえるなんて・・・店みせを出でて行いく女性じょせいの後うしろ姿すがたには、哀愁あいしゅうさえ感かんじた。

什麼才是幸福,這真的是沒人知道,不是嗎?才在不久前,肯定是被大家以超羨慕的眼神注視的女性,現在卻變成不知該如何形容的悲慘狀況…望著步出店面女性的背影,甚至可感覺到一股哀愁。

美希みきは、再ふたたび、昨夜さくやお別わかれをした真奈美まなみのことを考かんがえていた。学生時代がくせいじだいから真奈美まなみの夢ゆめは、カンボジアに語学学校ごがくがっこうを作つくることだった。観光資源かんこうしげんに恵めぐまれた国くにだからこそ、人々ひとびとの生活せいかつを安定あんていさせるには、語学教育ごがくきょういくを受うけさせることが必要ひつようだと考かんがえていた。外国がいこくからの観光客相手かんこうきゃくあいての仕事しごとに就つくことが、貧困ひんこんから脱出だっしゅつさせる一番いちばんの近道ちかみちだと・・・そのために、いよいよ出資者しゅっししゃを募つのろうとしていた矢先やさきに体調たいちょうの異変いへんを感かんじたらしい。

美希再度想起了昨晚才剛告別的真奈美。真奈美從學生時代就擁有的夢想是,到緬甸開設一個語言學校。正因為國家擁有充沛的觀光資源,更需要有個語言學校來輔導大家,才有辦法來讓大家的生活安定,真奈美是這麼的想著的。從事面對外國來的觀光客的工作,是脫離貧困的最好捷徑…因此,終於正當開始要募集投資者的時候,就感受到身體狀況好像有異常的樣子。

カフェのテラスで、あれこれ思おもいをはせていると、いつものように「このままでいいの?」が美希みきの脳裏のうりにうかんだ。しかし、今日きょうのその問といかけは、いつもと違ちがい、美希みきを憂鬱ゆううつにはさせなかった。何なんでもできるんじゃない?何なにがしたいの?したいことをすればいいよ!一度いちどきりの人生じんせいなんだから・・・と。まるで魔法まほうの言葉ことばのようだった。そうよね。私わたしは、お菓子作かしづくりがしたかったのよ。教育者きょういくしゃでいること、結婚けっこんすること、母親ははおやになること・・・そんなこと、実じつは少すこしも求もとめていなかった。ただ、そうしなければならないような気きがしていた。そして、誰だれかにいつか、そんなところから、救すくってほしいと求もとめていた。

於咖啡廳的陽台外,隨著種種想法的奔馳後,像平時般美希的腦海裡又閃起了「不滿現狀」的想法。不過,今天的自問自答跟平時有些不同的是,這個煩惱並沒有讓美希覺得憂鬱。什麼事情都可以做,不是嗎?想做什麼呢?只要好好努力做好想做的事就好了啊!因為人生就這麼一回而已…。宛如魔語般一樣。是啊。我一直想做的是甜點啊。從事教師職、結婚、當媽媽…這樣的事,其實一點都沒有渴望過。只是,覺得似乎該那麼做才對的感覺。然後內心渴望著的是有誰可以從那深淵拉拔出來。

「このままでいいの?」が自分じぶんで自分じぶんを非難ひなんしているように聞きこえていた。それは、自分じぶんで自分じぶんを不幸ふこうにしていただけ・・・したいことをすればいいと考かんがえると、一気いっきにパワーがチャージされたような気分きぶんになった。ガラスに映うつる自分じぶんの姿すがたを見みながら、満更まんざら捨すてたものでもないと思おもう。ピーンと伸のびた背筋せすじ、美うつくしく交差こうさされた脚あし、そして、今いま、何なにかから解とき放はなたれかのようなすっきりした笑顔えがお・・・美希みきは、ちょっと笑わらってしまったのだ。ほんの一時間前いちじかんまえまでの自分じぶんと、今いまの自分じぶんがまるで別人べつじんのように思おもえたから。こんな気持きもちは、何年なんねんぶりだろうか・・・

「這樣下去好嗎?」聽起來感覺像是對自己的責難。那只是自己讓自己不幸而已…想做什麼就做什麼就對了,能夠這麼想後,一下子變成宛如充滿電那樣地精神飽滿了。看著玻璃窗裡映照著自己的身影,想著並非完全無用。挺直著腰,漂亮交叉著的雙腳,然後,宛如從某種被解放出來的舒暢般笑顏…美希不禁笑了起來。因想著才僅僅一個小時前的自己和現在的自己,似乎是完全不同的兩個人。這樣的感覺有好幾年不曾有吧…

前学期ぜんがっきが終おわる夏なつまでで、講師こうしの仕事しごとは辞やめよう。私わたしが辞やめても、英語えいごの非常勤講師ひじょうきんこうしなら、すぐに見みつかる。夏なつからは、アルバイトも探さがさなきゃ・・・タイミングよく店員てんいんが来きたので、美希みきは支払しはらいをし、立たち上あがった。もう迷まよいはなかった。軽快けいかいに足あしが、ある場所ばしょに向むいていた。

決定了,就在暑假前上半學期結束時辭掉現在的講師的工作。就算我辭掉英語的客座講師的話,應該是能馬上找到。既然是夏天,不找打工也不行…因店員剛好過來,美希付完帳起身。再也不猶豫了。於是踏著輕快的腳步,朝著某個場所走去。。

この建物たてものの前まえを何度なんど通とおりすぎたことだろう。立たち止どまり、深呼吸しんこきゅうしてみた。そして、美希みきは、ル・コルドン・ブルー東京校とうきょうこうのドアを勢いきおいよく押おした。

不曉得來這棟建築物前有幾次了。停下腳步,試著深呼吸。然後,美希以強大氣勢打開了藍帶東京分校的大門。

終おわり


まばら 稀疏

物ものが少すくなくて、間あいだがすいている様子ようす。すきまのあいている様子ようす。

東西不多,空間很多的感覺。很多空隙的樣子。

羨望せんぼう 羨慕

羨うらやむこと。羨慕的事

思おもいをはせて(はせる) 讓思想奔馳

遠とおく離はなれている人ひとや物事ものごとを思おもいやる。

思念著離開久遠的人或事務。

パワー【power】

力ちから。体力たいりょく。気力きりょく。

力氣。體力。氣力。

チャージ【charge】充電 / 加油等

航空機こうくうき・自動車じどうしゃに燃料ねんりょうを入いれたり、蓄電池ちくでんちに充電じゅうでんしたりすること。蓄たくわえられること。蓄積ちくせきすること。

將燃料加入飛機.汽車、於蓄電池充電等。被儲備。積存。

捨すてたものでもない  還是有兩把刷子的

役やくに立たたないとして見み限かぎることはない。まだまだ使つかい道みちがある。

還不是無一是處,完全無用的就是了。還派得上用場的。

タイミング【timing】 時機點

ある物事ものごとをするのに最もっとも適てきした時機じき・瞬間しゅんかん。

 在做什麼事情時的最佳時機或時間點。


日語造句

    • あの辺あたりは、人通ひとどおりもまばらな住宅地じゅうたくちだよ。あの辺あたりは、人通ひとどおりもまばらな住宅地じゅうたくちだよ
       在那一帶,是沒什麼人通過的住宅地區。
    • 彼女かのじょはいつも、羨望せんぼうの的まとだよね。彼女かのじょはいつも、羨望せんぼうの的まとだよね
       那位女孩向來都一直是大家所羨慕的焦點。
    • 海外かいがいに住すんでいると、故郷こきょうに思おもいをはせることが多おおい。海外かいがいに住すんでいると、故郷こきょうに思おもいをはせることが多おおい
       海外住久了後,常會有望鄉的思念。
    • 軽自動車けいじどうしゃは、やはりパワーがないよね。軽自動車けいじどうしゃは、やはりパワーがないよね
       輕型轎車還是比較沒馬力的吧。
    • ICカードに現金げんきんをチャージしておこう。ICカードに現金げんきんをチャージしておこう
       看來還是來將IC通車卡存點錢進去才好。
    • 汚きたない店みせだけど、料理りょうりは、捨すてたものでもないよ。汚きたない店みせだけど、料理りょうりは、捨すてたものでもないよ
       看起來雖然是髒些的店面,賣的食物可不是沒兩把刷子的。
    • タイミングが合あわないと、うまくいかないよ。タイミングが合あわないと、うまくいかないよ
       時機點不對的話,是無法順利完成的。

文: mayumi, 翻訳: Kay, 録音: hasegawa

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Filed Under: 日本語 Tagged With: 代官山, 東京物語, 進階日語

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