東京物語 – 代官山 (第一章)
マンションから出た美希は、ちょっと後悔した。桜のこの季節は、ここ目黒川沿いは、人で溢れているからだ。老若男女を問わず、どこからこんなに人が集まるのだろうと、感心するほど歩くのも困難なほどの人、人、人・・・花見というより、人見ではないかと思う。
從大樓離開的美希,正感到有點後悔。在櫻花盛開的這個季節,沿著目黑川這裡的幾乎是要滿溢出來的人潮。不分男女老幼,「到底都是從哪裡聚集麼這麼多人們呢?」幾乎是打從心底感嘆的程度,就連在這裡行走都是程度相當困難的,滿滿的人人人,覺得與其要說是賞花,這簡直是賞人才對吧!
芸能人も多く住むこのエリアのマンションに越したのは、元彼の隆と自身の大学院に通いやすいからだった。おしゃれなカフェや雑貨店、ファッション雑誌の1ページがそのまま目の前に広がる生活感のないところも気に入っていた。もちろん、住所がステータスになるところも、貧乏大学院生の自分たちには魅力だった。
之所以搬到許多藝人居住的這一區的大廈,是為了方便前往前男友的「隆」和自己所就讀的研究所。時髦的咖啡店、小物店…簡直就像時尚雜誌上的某一頁在自己眼前展開一樣,而毫無平凡生活感的這一點也很喜歡。當然,居住的地方成為
有名的地位表徵,這對身為貧窮研究生的自己來說,這也是魅力之一。
その頃の美希は、希望に燃えていた。博士課程が修了したら、二人とも大学の教員になり、毎日前を通るたびに胸を踊らせるあの重厚なたたずまいのマンションに引っ越し、白く輝くシステムキッチンで大好きなお菓子作りをし、目黒川沿いを散歩する人を見下ろしながら、バルコニーでブランチ・・・もちろん、隆と二人の生活だ。
那個時候的美希,正燃著一股希望——如果成功取得博士學位、二人成為大學的教師,搬進每天經過就會感到雀躍的那棟沉穩大廈裡、在潔白發光的系統式廚房裡做著喜歡的點心、邊往下俯瞰沿著目黑川散步的人們,邊在陽台吃著午餐…當然,這是和隆一起的二人生活。
そんな描いていた夢も今では懐かしい。
當時所描繪的那樣的夢想,到現在想起來,都還感到懷念。
二人とも博士課程を修了したものの、職は非常勤講師という不安定なもの、そして、何より二人の結婚は、両方の親に反対された。それでも、二人でなんとか生きていた。
雖然二個人不只都唸了博士班,工作又是不算穩定的約聘教師,然而,比這些更要緊的是——二人的婚事遭到雙方家長反對。就算是這樣,二人都還是努力地一起生活著。
大学院時代は、奨学金がもらえていたから、生活はまあまあ安定していた。しかし、30歳を前に社会人となった二人には、非常勤講師の給料では、生活を楽しむなんて、夢のまた夢の話だった。
攻讀研究所時,因為拿到獎學金的關係,生活上還算勉強過得去,但對於在30歲之前成了社會新鮮人的二人來說,約聘教師的薪水如果想讓生活過得愉快,只是終究還是夢話罷了。
一年が過ぎた時、隆に専任教員の口がかかった。隆の地元、大阪だ。美希は、ついていくべきか迷ったが、一人東京に残ることに決めた。北海道と東京に暮らす先輩夫婦もいることが、当時の美希の決断には、大きく影響した。お互いに研究者・教育者として離れて暮らし、長い休みは二人で過ごす生活も、正直カッコイイと思った。
就在過了一年的時候,隆受到邀約成為專任教師,就在隆的老家——大阪。美希對於是否該跟著一起去感到猶豫、而決定獨自留在東京。也有前輩是夫婦倆分居北海道和東京二地,這對美希當時做的決定有很大的影響「二人彼此都身為學者、教育者,就算過著分離的生活,當長假來臨的二人生活應該是很不錯的。
隆と別れたと思った親は、家賃の支払いを助けてくれた。隆とは遠距離恋愛になったが、半年は続いた。そして、なんとなく別れた。結婚まで考えていた男との別れが、「なんとなく」で終わるものだと30歳を過ぎて知った。
以為自己和隆已經分手的爸媽幫忙付了房子的租金,雖然和隆變成遠距戀愛,但也這樣過了半年。然而,卻不知為何分手了。和曾經一起思考結婚的男性分手,「雖然不知道為什麼」,但這真的就是結束了,這是過了30歲才瞭解到的。
隆と別れても、美希の生活は大して変わらなかった。日替わりで、いくつかの大学で英語を教え、たまに実家に顔を出し、この一人暮らしにも慣れた部屋に帰宅する。大学院時代の友達とは、隆と別れてから、徐々に疎遠になっていた。変わったことと言えば、通勤に新しくなった代官山駅を使うようになったことぐらいだ。フランスのル・コルドン・ブルー東京校のカフェの前を通り、季節ごとに変わるお菓子を見るのが楽しみなアラフォーになっていた。
季節ごとに変わるお菓子を見るのが楽しみなアラフォーになっていた。
就算和隆分手,美希的生活並沒有起什麼大變化。隨著日子更迭,也在幾間大學教英文、偶爾回回老家,也很習慣一下班就回到自己房間。和大學時期的朋友自從和隆分手後,也慢慢地疏遠,如果真的要說有什麼改變的是,大概就是開始在變新的代官山站通勤這樣的事了。在法國的巴黎藍帶廚藝東京分校的咖啡店前,欣賞隨著季節變換的西點,期待地迎接即將到來的四十歲。
続く
ものの
逆接続の確定条件を表す。「・・・けれども」「・・・とはいえ」と同じ。
逆態接續詞,用來表示既定的逆態條件。和「・・・けれども(但是)」、「・・・とはいえ(儘管…但是…)」同義。
夢のまた夢
夢の中で見る夢。非常にはかないことを言う。=「夢の夢」
在夢中所夢見的。用來形容非常虛幻的事情。
口がかかった
仕事の依頼や注文などを受ける。
接受別人請託的工作或委託。
アラフォー《around fortyの略》
40歳前後の人。2008年に放送されたテレビ番組の題名から流行した語。新語。ほかにも、還暦前後の人を「アラ還」などと言う。
指40歲前後的人。源自2008年播放的電視節目的名稱而流行起來的新語彙。另外還有環曆前後的「アラ還」之類的說法。
日語造句:
文: mayumi, 翻訳: Shinn, 録音: hasegawa