福袋
2018年も「福袋」の争奪戦があちこちで繰り広げられたようです。
この「福袋」、もともとは江戸時代に呉服屋が余った生地を袋に入れて売ったことから始まったそうです。高価な布の切れ端が入っていることもあり、売れたそうです。そして、かなり高価な切れ端が入っていると現在同様、人々は「運が良い」と喜んだそうです。その後、明治時代になり、「福袋」という言葉が使われるようになりました。
昭和の時代には、新年の初売りには「福袋」は欠かせないものになったようです。しかし、在庫処分の意味合いが強く、消費者にとっては「一つでも好みのものが入っていれば当たり!」と考えていたようです。その後、1990年代に景気が悪くなると、「福袋」が売れなくなりました。その時、あえて流行のもの、多くの女性が欲しがるものを「福袋」に入れたのが、銀座にある女性専用のファッションビルです。そこから流れが変わり、みんなが欲しいものを「福袋」に入れることで「中身にこだわる消費者」を取り込み、「福袋」のために新年から百貨店の前には長蛇の列ができるようになりました。中には、10万円相当の物が中に入っているのに、1万円の「福袋」などというものもあるようです。その激戦区が、銀座です。普段は高級感が漂う銀座の百貨店が庶民化します。
「福袋」の中身も、衣服や日用品から、現在では鉄道の運転のような特別な体験ができるチケットなどと進化しています。また、並ばずにインターネットで買える「福袋」もあります。さらに驚いたことには、渋谷の109ビルの前では、「福袋」の中身を開け、自分が不要なものを欲しい人と物々交換することが恒例となっています。今年は、外国からの観光客も、物々交換に参加していました。
「福袋」は、新年にプチ幸せ感を届けてくれているようです。
日本語 – 語彙:
繰り広げられた(繰り広げる)
ある事柄・場面などを次々に展開する。多く受け身の言い方で用いる。
切れ端
必要な 部分を切り取った残りの小部分。
初売り
新年初めての商い。初商い。
意味合い
(背後の事情を含めた)意味。理由。わけ。
あえて 硬是
(しなくてもよいことを)困難や抵抗を押して意図的に行う様子。わざわざ。無理に。
こだわる 拘泥、特別在意
気にしなくてもいいようなことを気にする。普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。
取り込み(取り込む) 占領、擁有
自分の側に引き入れる。
庶民 一般人民
世間一般の人々。特別な地位・財産などのない普通の人々
プチ 小小的
小さな。かわいい。ちょっとした。
文: mayumi /録音:KOSUKE
日文例句:
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